今回のテーマ作品の「視界360度」で、不可能に近い難しい被写体が、自分の周囲に散らばっている人達(群衆)を撮る事だ。
但し、止まっている人物達ばかりであれば、何の問題も無く簡単に撮れる。これが祭などで踊っている人達と観客との間に立って、周囲360度をファインダーで確認しながら、画面の半分ずつを次のシーンと重ねながら一枚ずつ連写撮影して行くのだが、ぐるりと一回りすると約30枚~40枚のカット数になる。
この撮影で画面の半分を重ねて撮って行く僅かな秒数に、次の半分の画像(人物など)が僅かでも動いたり、少しでも移動してしまうと、もうそこで画像の連続性が途絶え、画像を重る事ができず、パノラマとして成り立たなくなる。
この僅かな誤差を出来る限り調整しながらも、偶然の成功を信じて、とにかくカメラを持って回り続けるしかないのだ。
昨日は、名古屋で行われていた「ど真ん中まつり」が、この不可能な被写体撮影に絶好の機会だと挑んでみた。
まず電車を降りた名古屋駅構内で、ぐるぐる回っていた。周囲の者は変な奴が何度も何度も回っていると不思議に思っていたに違いない。
日曜で祭当日の名古屋駅は人が多い、とにかく次々と行き交う人達の数も相当なものだ。それを一気に360度で写し止めようと言うのだから、どう考えても無理がある。がしかし、この不可能な事をもやってしまわなければ、誰が撮っても同じ様なパノラマ写真から抜き出る事ができないのだ。
そう思って、一回の360度パノラマ40カット×100回の回転で、昨日は約4000カット撮影した事になる。
そして、その内、偶然にも何とか成功した360度写真は、たった3枚。この3枚も奇跡的に近い確立だ。100回もグルグル回っているカメラマンを周囲の人達は何と思っていたことだろうか? 実は、今考えてみると、撮影していた場所で警備をしていた警官が、当初は二名だったが、次第に六名にまで増員されて、私を遠巻きに取り囲んだ形で、私の様子をうかがっていた様にも思う。時々、一人の警官が近づいて来て、近距離で私を確認をして戻って行く感じだった。気のせいだろうか?? そりゃ100回も回っていたら変なおじさんに違いない。(苦笑)
※ 写真はパノラマと関係無く、帰宅途中の暮れる空(駅に迎えに来た妻の車の助手席で撮影)